“幻の和牛”を存分に味わう人気イベント
田子の自然が育んだA4ランク以上の牛
青森県田子町で10月5、6の両日に開催された「第34回にんにくとべごまつり」。町外ではなかなか手に入らない「田子牛」のバーベキューが人気の行事だ。
田子牛として販売されるのは、町内で育てられた黒毛和種のうち、日本食肉格付協会の品質評価でA4ランク以上の牛だけ。出荷頭数は年間約60頭とわずかだ。
町内の豊かな自然が上質な牛を育む。山あいに位置する地理を生かし、母牛は5~10月に広々とした高原に放牧され、のびのびと育つ。きれいな空気や水も産地としての売りだ。
2日間で約1万3千人が来場
このまつりは、生産者や町役場関係者らで組織する実行委員会が主催し、町内の創遊村229スキーランド特設会場で行われた。
前売りで販売されたバーベキューチケットは、田子牛200㌘やニンニクなどの地元野菜が入って2千円(税込み)で、準備した3千枚が完売。会場内には田子牛の販売コーナーが設けられており、チケットがなくても飛び入り参加が可能だ。
今年は、2日間で延べ約1万3千人が来場。人口約5400人の小さな町が観光客であふれた。
丸焼きの出店に行列
初日は雨が心配されたが、開始時刻の午前10時には太陽が顔を出した。開幕を待ちわびた大勢の人たちが詰め掛けていた。
バーベキュー会場は、野外と屋内ドームの2カ所。テーブルに大きな鉄板が埋め込まれ、10人ほどで囲める。田子牛の引き換えを終えた家族連れらが早速、見事なさしの入った肉を次々と焼き、「ジュウジュウ」「パクパク」「ニコニコ」と“三重奏”を奏でていた。
敷地内には出店も並んだ。長い列ができていたのは、田子牛の丸焼きの販売。一晩かけてじっくりと火を入れており、ローストビーフのような味わいとか。100㌘入りの一皿が千円(税込み)で、あっという間に売り切れる人気ぶりだった。残念ながらありつけず、楽しみは次回へ持ち越しとなった。
外国人の姿も目立った。町と姉妹都市を結ぶ米国ギルロイ市の関係者が招かれた他、三沢市の米軍三沢基地でも前売り券が販売されているという。田子牛のうまさにうなるのは万国共通のようで、「TAKKOBEEF」の名が、海外で響き渡る日がいずれ来るかもしれない。
食べて「応援」を
今年で34回を数えるまつりは、田子牛の知名度アップに大きく貢献してきた。一方、ブランド力をさらに高めるには、生産体制の強化が不可欠となっている。
最盛期には町内に20軒以上あった肥育農家は、生産者の高齢化や子牛価格の高騰などを背景に、7軒まで落ち込んでいる。それでも近年は、若い後継者が誕生するなど明るい兆しも見られるという。
田子牛は、まつり以外の日でも、地元の精肉店などで購入できる。消費者ができる一番身近な応援は、やはり「食べる」ことだろう。感謝とエールを込めて「いただきまーす!」
[デーリー東北新聞社三戸支局支局長 金澤 一能]
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