移住者のライフスタイル佐貫 巧さん (おいらせ町 平成30年 Iターン)

佐貫 巧(さぬき・たくみ)
1982年生まれ。東京藝術大学大学院修士課程油画専攻修了後、同校の教育研究助手に。2013年、転職を機に八戸市へ移住。18年、おいらせ町に住まいを移す。『現代芸術教室アートイズ』主催。16年『インシデンツ2016』出展、18年、個展『ハチノヘブルー』を開催。現在は八戸学院大学短期大学部幼児保育学科准教授として教鞭を取る。

豊かな自然と便利な暮らしのいいとこどり!

 アーティスト、八戸学院大学短期大学部幼児保育学科准教授、現代芸術教室アートイズ主催とさまざまな顔を持ちながら、おいらせ町に暮らしている佐貫巧さん。2013年、大学勤務を機に東京から八戸市に移住。約5年間の生活を経て、18年11月、家族6人でおいらせ町に移り住みました。その理由を尋ねると「子どもを百石幼稚園に入れたい!と思ったから」という答えが。
 「仕事柄、色々な保育施設に行く機会があるけど、百石幼稚園は僕が理想としている保育をしていて。ここで自分の子どもを育てたいと思い、移住を決めました」
 園庭には自然の木がたくさん。木登りをしたり、日が暮れるまで自然の中で走り回ったり、子どもたちが生き生きとしていると話す佐貫さん。「帰ってきた子どもの靴から「え!こんなに⁉」っていうくらい砂が出てきて。たくさん遊んできたんだなって嬉しくなっちゃいました」というエピソードを聞かせてくれました。そして、地元の人は気づきにくい雪国ならではの楽しみも。「雪だるまとか、かまくらとか、雪を使って造形するって雪国にしかできないこと。何かを作るという行為が自然にできるって、いいですよね」
 住んでみて実感したのは、おいらせ町は子育て世代にピッタリの場所であるということ。公園や緑が多く自然環境が豊かで、子育て支援も充実している。八戸、三沢、十和田へのアクセスも抜群で、買い物や遊びに出かけるにも便利。「それに、移住者にとってハードルが低いというか、すっと入っていけるような雰囲気がある。若い人には特におすすめですよ」と佐貫さん。実際、佐貫さんの周りにも、子育て環境に惹かれて移住したという人が増えているそうです。

何かを作り出す過程で見せる子どもたちの表情が一番

 この日訪ねたのは、子どもを対象としたアート教室「アートイズ」のワークショップ会場。佐貫さんは、目を輝かせながら思い思いに制作をする子どもたちの様子を、終始優しい笑顔で見守っていました。
 「僕の方が子どもたちから色々なことを教わっている感じ。今は、このアートイズがライフワークみたいになっています」
 これからも子どもたちがワクワクするような活動をしていきたいと話す佐貫さん。現在準備中なのが、おいらせ町を拠点とした『おいらせこどもアートセンター』。子どもはもちろん、保育士や保育士を目指す学生が集まって、楽しく学ぶ場所になる予定です。「さらに忙しくなりますね」と声をかけると「そうですね、でもすごく楽しんでやっているので」と笑顔に。アートイズを立ち上げてから丸8年。次はどんなワクワクを届けてくれるのか楽しみです。

移住者のライフスタイル

 移住先は「ほどよい田舎」が人気です。
 生活するうえで必要な都市機能を備えながらも身近に美しい自然が広がり、人と人の支え合いが根付く暮らし。そんな便利さと暮らしやすさを兼ね備えた生活空間がここにはあります。
 物質的な豊かさは都会ほどではないかもしれません。
 でも、心にゆとりを与えてくれる人との絆がここにはあります。人との絆を、個人の制約ではなく個人の楽しみに変えることができる人に、この地で半都半邑の楽しさを味わってほしいのです。