移住者のライフスタイル小田桐 咲さん (八戸市 令和2年 Uターン)

小田桐 咲(おだぎり・えみ)
1996年生まれ。5歳からカンフーを始める。2017年、大学4年の時に出場した武術太極拳の全日本選手権・伝統器械部門で初優勝。19年には2度目の優勝を飾る。20年9月、八戸市にUターン。同級生3人で情報発信ユニット「海猫ふれんず」を結成。現在、市中心街魅力発信サイト「はちまち」のライターとしても活躍している。

武術の素晴らしさを広げるために今、自分ができることを

 小田桐咲さんが取り組む武術太極拳は、拳や武器を使った『演武』の美しさで勝負するスポーツの一種。この武術太極拳の全日本選手権大会で2度の優勝経験を持つ小田桐さん。現役アスリートとして、2026年に青森県で開催される国民スポーツ大会(現・国民体育大会)出場を目指す傍ら、八戸市を拠点に後進の育成など普及活動にも力を注いでいます。
 武術太極拳との出会いは5歳の頃。父親の仕事の関係で北京に2年間住んでいた時、幼稚園で開かれたカンフー教室に興味を持ったのがきっかけでした。本場中国での経験。鮮烈な印象だったのでは?と思いきや「実は、何も覚えていない」とあっさり。ここまで競技を続けてこられた理由は「純粋に楽しかったから」と話します。
 大学進学を機に生まれ育った八戸市を離れ、そのまま都内で就職。競技を続けながら会社員として働いていましたが、20年、Uターンを決意します。
 「青森県内に指導者がいなくなるかもしれないという話を聞いて。いずれはコーチとして八戸に帰りたいと思っていたので、その時期が少し早まった感じ。青森国スポに出場して地元大会を盛り上げたい、という気持ちもありました」
 培った経験を生かし、地元に貢献したい。そんな思いがUターンを後押したようです。「武術をしている時が一番自分らしくいられる。生きていると実感する時です」と小田桐さん。武術の素晴らしさを伝えるべく、現在、八戸武術クラブでコーチを務めています。生徒は5歳~中学2年の6人。指導する上で大切にしているのは「礼儀作法」、そして「個性を伸ばすこと」だといいます。同じ型の演武でも、一人ひとり表現が異なるという武術太極拳。その人が持つ個性、特性に合わせた指導で、いい選手を育てていきたいと意気込みます。競技者としての目標は、しっかりと結果を残すこと。「今は、青森国スポで燃え尽きたいという思いが強い。やりきって競技人生を終えたいです」。

離れたからこそ見えてきた地元のいいところ

 Uターン後、小田桐さんが力を入れている活動がもうひとつ。同級生3人でつくった情報発信ユニット「海猫ふれんず」です。八戸圏域のUIJターン者増加を目指し、インスタグラムやYouTubeで情報を発信。一度県外に出た経験を持つ3人だからこそ実感できる青森の魅力を伝えています。
 「八戸って、やっぱりいい所。日本酒と魚が好きな人にとっては天国かも」と笑う小田桐さん。今後は、学生を対象としたイベント開催も考えているそうで「若い人たちが八戸をよりよくしたい、面白くしたいと思えるような活動を進めていきたい」と抱負を語ってくれました。

移住者のライフスタイル

 移住先は「ほどよい田舎」が人気です。
 生活するうえで必要な都市機能を備えながらも身近に美しい自然が広がり、人と人の支え合いが根付く暮らし。そんな便利さと暮らしやすさを兼ね備えた生活空間がここにはあります。
 物質的な豊かさは都会ほどではないかもしれません。
 でも、心にゆとりを与えてくれる人との絆がここにはあります。人との絆を、個人の制約ではなく個人の楽しみに変えることができる人に、この地で半都半邑の楽しさを味わってほしいのです。