移住者のライフスタイル クリストファー・トーマス・カールセンさん、真紀子さん (新郷村 令和2年 Iターン)

クリストファー・トーマス・カールセン・真紀子(クリストファー・トーマス・カールセン、まきこ)
1988年生まれ。オレゴン州立大学卒業。在学中に、留学生だった東京都出身の奥さん、真紀子さんと出会う。2011年から3年間、ALT(外国語指導助手)として新郷村で暮らす。その後、20カ国以上の国々を旅し、2020年、新郷村への移住を決意。現在、新郷村のALT支援員として小中学校の英語の指導にあたっている。

何もないけど、そこがいい。新郷村は世界一好きな場所

 緑の木々が生い茂る坂道を進んだ先に見える一軒の家。「いらっしゃい」と、笑顔で出迎えてくれたのは、クリストファー・トーマス・カールセン(愛称クリス)さん。現在、新郷村教育委員会に、ALT(外国語指導助手)支援員として勤務しています。
 クリスさんは、アメリカ・ニューメキシコ州生まれ。3歳の時に家族でオレゴン州に移り住み、大学卒業まで過ごしました。日本の神道、仏教に興味を持ち、大学では日本語も学んでいたそうです。
 「日本の子どもたちに英語を教えたい。日本で暮らしてみたい」と、ALTに応募。2011年から3年間、新郷村のALTを務めました。「たまたま配属された」という新郷村の第一印象は「何もない!(笑)」。けれど「そこがいい」。もともと田舎は大好き。子どもたちも明るく元気。「来て良かった」。心からそう感じたそうです。
 その後クリスさんは「世界を旅して住みたいと思える場所を探そう」と旅へ。ヨーロッパやアジアなど20カ国以上の国々を巡り、たどり着いたのは新郷村でした。
 「もう一度ここで暮らしたいと思いました。人は優しいし、自然がいっぱい。世界で一番好きな場所です」 念願の移住を果たしたのは20年。翌年には東京出身の妻・真紀子さんを呼び寄せ、新たな生活をスタートさせました。

移住で生まれたゆとりの時間 夫婦でスローライフを満喫

 真紀子さんが田舎に越してやりたかったことの一つが、バイクに乗ること。移住してすぐに、ふたりで免許を取得したそうです。お気に入りのルートは、一直線に伸びるグリーンロード。「東京と違って道は広いし、信号も少なくて走りやすい。夕方とか気持ちいいですよ」と、にこり。いつか北海道を走るのが、ふたりの夢だといいます。
 田舎暮らしは人と人との距離が近く、とても心地よい。「気軽に声をかけてくれたり、気にしてくれたり、新郷村の人は温かくて、とても助かっている。みんな親戚みたい」とクリスさん。知り合いの方が箱いっぱいの野菜を届けてくれることもしょっちゅうなのだとか。そんな時はクリスさんも、庭の畑で育てたビーツやチャード、ケールといった珍しいオーガニック野菜をおすそわけ。こうしたやりとりが楽しいのだといいます。これからは、地域コミュニティにも積極的に参加していくつもり。地域のために少しでもお手伝いができればと話します。夕暮れ時、目の前に広がる原風景を眺めながら、ときにはギターを弾きながら飲むお酒が最高においしいと、ほほ笑むふたり。「東京とは真逆の生活。まさにスローライフです」と真紀子さん。新郷村での暮らしを夫婦で満喫しているようです。

移住者のライフスタイル

 移住先は「ほどよい田舎」が人気です。
 生活するうえで必要な都市機能を備えながらも身近に美しい自然が広がり、人と人の支え合いが根付く暮らし。そんな便利さと暮らしやすさを兼ね備えた生活空間がここにはあります。
 物質的な豊かさは都会ほどではないかもしれません。
 でも、心にゆとりを与えてくれる人との絆がここにはあります。人との絆を、個人の制約ではなく個人の楽しみに変えることができる人に、この地で半都半邑の楽しさを味わってほしいのです。