期間限定の味「生ニンニク」

2019/07/19 - ファンクラブ通信

堀り取り体験が人気

青森県内のニンニク産地として有名な田子町で6月下旬に開催されるのが、「田子にんにく収穫祭」だ。目玉は10株2千円の掘り取り体験。「たっこにんにく」として全国に流通する、町特産のブランドニンニクがお得に購入できるとあって、町内外の多くの人たちでにぎわう。

香りが出迎え

イベントを運営するのは、町役場やニンニク産業に携わる町内関係者で組織する実行委員会。8年目の今年は6月22、23の2日間の日程で行われた。

会場は町中心部に近い、熊原川沿いの町農山村広場。一面に芝生が広がり、中央のステージや屋根の掛かったテーブル席を囲むように屋台が並ぶ。

訪れたのは22日。午前10時の開始時刻に合わせて到着すると、朝から降っていた雨がいつの間にか上がっていた。

毎年、梅雨の時期に開かれる行事なのに、不思議と天候には恵まれてきたとか。そんなジンクスを信じ、掘り取り体験のチケット売り場へ向かうと、既に行列ができていた。

ニンニク畑までは、会場から徒歩で数分。近づくほどニンニクの香りがどんどん強くなる。湿度が高いせいだろうか。刺激は鼻を通り越し、全身の毛穴から染み込んでくるよう。これも産地ならではの体験と思えば、ニンニク風味の風も心なしか気持ちがいい。

宝探し

ニンニク畑にはロープが張られ、その20㍍四方ほどの区域内なら、どれを取るかは自由。目利きの力が試される。町の担当者によると「茎が太く、葉が青々としている」のが大物のサインだという。

「予習」はばっちりだったが、いざ畑を回ると、どれも立派に見える。まずは1本抜いてみると、手からはみ出るような大きな実がゴロンと土から顔を出した。「もっと大きなニンニクを」と探し回るうちに、あっという間に時間は過ぎた。まるで宝探しだ。

魅力的な「食」

取れたてを味わえるのも収穫祭の魅力。丸揚げで素材のうまさを感じるのもいいが、田子は畜産が盛んな地域でもある。地元の牛、豚、鶏とニンニクとの相性は抜群だ。カレーやコロッケ、唐揚げ…。会場の屋台のメニューは、どれを食べても間違いなさそうだ。

とりわけ目を引いたのは「田子豚ケバブ」。ブロック肉を専用の機械でじっくりと焼き、その場で切り分ける。カリカリの豚肉を黒にんにくや野菜と一緒に、しっとりとしたパン生地に挟めば完成。ケチャップとマヨネーズを混ぜたソースが食欲をそそる。

メニューを考案したのは実行委員会のメンバー。数年前から町のイベントを中心に販売しているという。

期間限定の味

家庭で食べるなら「生」がいい。ニンニクは通常、貯蔵や病害虫対策のため、収穫後に乾燥させて熱処理を施す。一般に流通するのはこうしたニンニクで、生で味わえるのは、掘りたてのこの時期だけだという。

みずみずしい生にんにくをすりおろすと、色は真っ白ではなく半透明。水分が多いため、さわやかな風味で、辛味も少ない。

早速、旬の生カツオに合わせようか。地元の田子牛を、ニンニクの効いたタレで味わうのも捨てがたい。

「王子」と「姫」

田子産ニンニクのPRに一役買っているのが、マスコットキャラクターの「たっこ王子」だ。ニンニクの形をした顔には、つぶらな瞳。王冠にマント姿もかわいらしい。地元の子どもはもちろん、観光客にも愛される。

今シーズンは「姫」もデビューする。と言っても、マスコットキャラクターではない。町で生まれたニンニクの独自品種「美六姫(みろくひめ)」だ。

2017年度の品種登録を経て、19年産から販売を始める。実が大きく、色が白いことなどが売りで、販売は9月以降。まだ量が少ないため、一般向けに広く出回るまでには時間を要しそうだが、新たな〝家族〟がニンニク産地をさらに盛り上げてくれそうだ。

[デーリー東北新聞社三戸支局支局長 金澤 一能]

 

田子町ホームページ

http://www.town.takko.lg.jp/index.cfm/1,html