五戸の歴史、文化の発信拠点

2020/02/01 - ファンクラブ通信

旧小学校舎を資料館に

青森県五戸町の歴史民俗資料館「ごのへ郷土館」は、2013年度末に閉校した豊間内小の校舎を活用し、18年6月に開館した。常設展示室は四つあり、縄文、中世~近世、産業、南部鉄道をテーマに、町の歩みを知ることができる。

同小最後の校長だった木村明彦さん(62)が館長を務めている。元は自称・バリバリの理系男子だったが、家系調査をきっかけに歴史に没頭。最近では南部家を題材にした歴史小説を出版するまでになり、講師としても各地で引っ張りだこだ。

そんな木村館長のガイドで、館内を見学した。

一押しの展示品「石冠」、模様はカエル?

第1展示室は、縄文時代の土器や石器などが展示されている。室内に入ると、まず目に飛び込んでくるのは、旧倉石村内で発見された国重要文化財・薬師前遺跡出土遺物のレプリカだ。縄文後期の物で、本物の出土品は八戸市博物館が保管している。

しかし、木村館長に真っ先に案内されたのは、四角い石の両側面に同じ模様が彫られている石冠(せっかん)という石製品。祭祀(さいし)に使われたとみられている。鉄塔を建てる工事をした際に見つかったという。

他の遺跡の石冠に比べて色や磨きの状態が良いそうで、木村館長が「もっと調査すれば、町や県の文化財になる」と断言する一押しの展示品だ。

ちなみに、石冠の模様は正面から見たカエルの顔のよう。「ゴロピー」と愛称を付け、グッズの売り出しを計画中だという。

五戸の地名が記された最古の文書

第2展示室では、中世から近世までの史料や、古来から盛んだった馬産について紹介している。

五戸の地名が確認できる最古の古文書、鎌倉時代に北条氏の直轄領だった五戸地方の様子を記した「五戸郷々検注注進状」、藩政時代の五戸通(代官所の統治地区を「通・とおり」と称した)を描いた大きな古地図…。

ずらりと並ぶ史料やパネルを前に、木村館長の解説は尽きることなく、質問にも全て答えてくれる。

残念だが、ここでは内容を書き切れない。この後、昔の農業や祭行事を紹介する第3展示室、十勝沖地震で廃線になった南部鉄道などに関する第4展示室と続いたのだが、省略する。

カフェや工芸体験も

最後に館内のカフェへ。土曜はカレーランチ、日曜はそばランチを提供しており、いずれも価格は税込み600円とお手頃。特にカレーは地元野菜にこだわり、ルーにはタマネギとゴボウ、具には季節に合わせた彩り野菜を使用する。平日は、かけそばやケーキセットなどをいただける。

また、館内では、伝統工芸の裂き織り、菱(ひし)刺し、草木染めなどの体験や、編みがさ「五戸バオリ」や五戸凧(だこ)の見学ができる活動室も備えている。

目指すは〝ディスカバリーランド〟

郷土館では季節ごとに、地域の伝統行事に関するイベントも開催している。

木村館長に今後の施設の展望を聞いた。「新たな発見がある〝ディスカバリーランド〟にしたい。昔から産業や文化が結び付いてきた周辺の関係施設とも連携できれば、南部地方の歴史をより面白く発信できるのではないか」

五戸の成り立ち、培われてきた風土を学びに、郷土館をのぞいてみてはいかがだろう。なお、木村館長のガイドを希望する場合は、事前の予約をお勧めする。

ごのへ郷土館は入館無料。開館時間は午前10時~午後5時。毎週月曜休館(祝日の場合は翌日)。電話は0178(62)5965。

(※本文中の年齢は取材時点)

[デーリー東北新聞社五戸支局支局長 出川しのぶ]

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