つかみ取りに歓声 日本一のおいらせ鮭まつり
奥入瀬川のサケを使った人気イベント
青森県おいらせ町の奥入瀬川河川敷のしもだサーモンパークで開催される「日本一のおいらせ鮭(さけ)まつり」。2019年で14回目を迎えたが、合併で同町が発足する前の旧下田町時代から数えると34回目という、伝統ある催しだ。今回は11月16、17日に行われた。人気イベントの魅力を体感しようと、会場に足を運んだ。
メイン企画はサケのつかみ取りだ。例年は奥入瀬川に遡上(そじょう)してくる1500匹前後のサケを利用するが、今回は記録的な不漁の影響を受け、用意できたのは約700匹にとどまった。
前売りの分を除き、会場で販売した当日券は2日間で約300枚と少なく、両日とも買い求める人たちが長い列を作った。初日は販売開始の時間が午前9時半だと聞き、私はその直後に訪れてみたが、早々に完売したとのこと。冷たい風が吹く中、午前8時ごろから並んだ人もいたそうだ。
いけすの中で悪戦苦闘
つかみ取りは1日4回ずつ、2日間で計8回行われた。最も多い回では約150人が参加し、歓声を上げながら楽しんだ。
小さな子どもから大人まで、スタートの合図で一斉にいけすの中に入る。冷たい水をものともせず、はだしで飛び込むつわものもいた。参加者は、勢いよく飛び跳ねながら動き回るサケを追い掛けたり、いけすの隅に追い詰めて捕獲を試みたりと悪戦苦闘していた。
写真を撮ろうといけすに入ってみたが、参加者とサケとの“格闘”に巻き込まれ、たくさんの水を浴びてしまった。小さな子どもたちは、両手でしっかりとサケを捕まえると、逃げられないようにすぐビニール袋に入れていた。感想を聞くと、「冷たかったけど楽しかった」「ちゃんちゃん焼きで食べたい」と笑顔を見せた。
さけ汁、ちゃんちゃん焼きも好評
会場には、つかみ取りしたサケをさばいてもらえるブースが設けられ、そこにも多くの参加者が順番を待って並んでいた。担当したのは、地元の百石町漁協の組合員で、包丁で手際よく三枚おろしにしていた。後は、家に持ち帰って調理するだけだ。
寒い河川敷の会場で好評だったのは、サケを使った温かい料理だ。同漁協女性部がさけ汁を提供したほか、おいらせ町商工会青年部がちゃんちゃん焼きを販売。購入した多くの家族連れが、テントの下でおいしそうに食べていた。その周りにも香ばしいにおいが広がり、来場者の食欲を誘っていた。
期間中、会場のステージでは地元の団体などによるバンド演奏やダンス、歌謡ショーに加え、サケにちなんだクイズ大会も行われ、参加者は世代を超えて楽しんでいた。2日目には、同町本村地区の本村郷土芸能保存会の子どもたちが出演。おはやしに合わせて勇壮な鶏舞を披露し、注目を集めていた。
不漁を乗り越えて
イベントが終わってから、「おいらせ鮭まつり」の名称に付いている「日本一」はどこから来たのか、ふと気になった。町商工観光課に確認すると、1993年の鮭まつりで国内最多となる約2500匹のサケを使用したことから、日本一を称しているという。
今回はサケの不漁の影響を受け、毎年実施しているサーモンレースを中止したほか、つかみ取りの規模を縮小。そのせいか、例年より参加者が少なかったという声も聞かれた。
イベントにサケを提供している奥入瀬川鮭鱒増殖漁協の戸来敏幸組合長は、「つかみ取りができなかった人には申し訳なかった」と残念そうな表情。それでも、「来年はサケが川に戻ってきて、多くの皆さんに楽しんでもらえたら」と期待を込めていた。
不漁のピンチを乗り越えて開催した今回の鮭まつり。今後も「日本一」の名を冠したイベントとして、愛され続けることを願わずにはいられない。
[デーリー東北新聞社三沢総局 柴田 佳弥]
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