ASMR動画で人気「酒のしずく」

2023/01/10 - お知らせ | ファンクラブ通信 | 八戸市

日本酒がほんのり香る「食べる宝石」

外側はやや硬くてシャリシャリしている一方、中はもちっとした食感の琥珀糖は、「食べる宝石」とも呼ばれる和菓子だ。近年ブームになっている、ゾクゾクしたり、心地良くなったりする「音」を収録したASMR動画をきっかけに脚光を浴びている。そのような人気動画の中に、ある日突然出てきたのが、八戸市の「八戸菓子匠 港むら福」が手掛けた琥珀糖「酒のしずく」。透明感のある爽やかな青のキューブには、その名の通り八戸酒造の日本酒「八仙」がブレンドされていて、口に含むとふわりと日本酒の香りが広がる。

店主の舩場修さんによると、ASMR動画がブームになる数年前から販売していて、八仙がお酒のコンクールでさまざまな賞を受賞したことで、「酒のしずく」の売り上げは年々上がっていたという。そこにASMRブームが重なり、一時期は注文が殺到したそうだ。

砂糖と寒天で独特の食感

「琥珀糖は、簡単に言うと砂糖蜜を寒天で固めた、昔からある和菓子です」と舩場さんは話す。粒の大きい白ザラメを使うことで外側にできる砂糖の結晶が「しゃりしゃり」の正体。ぷるんとした寒天との組み合わせで、独特の食感が現れる。

味は、baseの店舗とオンラインショップで取り扱っている定番の「酒のしずく」のほかに、港むら福店頭には、今年デビューした冬期限定の「林檎(りんご)のしずく」がある。こちらは五戸町倉石地域で生産された紅玉の果汁を煮詰めて作ったジャムを使用していて、ほんのりとリンゴの味と香りが楽しめる。一方、夏期間には八戸市南郷地区産のブルーベリーを使った「藍苺(ブルーベリー)のしずく」も。お酒が苦手な方には「林檎」「藍苺」がお勧めだ。

女性たちのアイデア光る「八戸きらり」

酒のしずく」がSNSを中心に人気を誇る一方で、〝大人女子〟をターゲットにした八戸ならではの琥珀糖「南部菱刺し琥珀糖八戸きらり」がある。八戸圏域版DMO(観光地域づくり推進法人)「VISITはちのへ」の商品開発女子部「はちのへポケット」と港むら福、同じく八戸市の和菓子店「元祖鶴子まんじゅう萬榮堂」が共同開発し、20215月にデビューした。形状は地元の伝統工芸「南部菱刺し」をモチーフにした、カラフルなひし型。味はアンズの八助梅、ニンジン、桑茶、八戸ワイン、リンゴ、黒ゴボウと黒豆の6種類で、いずれも青森県南地方の素材を使用している。

はちのへポケットの女性たちから出たアイデアをベースに、港むら福では、八助梅、ニンジン、八戸ワインの開発を担当した。中でも商品化に一番苦労したのは、八助梅。酸が強いと固まりにくくなる寒天と、酸味が特徴である八助梅をどう組み合わせればいいか、試行錯誤を繰り返したそうだ。結果、八助梅をジャムにして濃縮することで、食感と味の両方を引き出すことに成功した。

また、八戸ワイン味には、隠し味に柿酢をほんの少し入れることで、ワイン独特の深みのある味わいを存分に出せたそうだ。

はちのへポケットのインスタグラム(@hachinohe_pocket)では、「八戸きらり」の商品開発過程や、食べ方のバリエーションも紹介している。

夢中になる食感を、ぜひあなたも

 琥珀糖はもともと茶席で出される干菓子なので、抹茶や緑茶はもちろん、ストレートの紅茶とも相性がいい。つい夢中になる独特の食感の宝石の中に、すっきりとした優しい甘さを閉じ込めた「酒のしずく」は、ASMRやSNS映えはもちろん、くつろぎの時間のお供にもぴったりだ。

 

(デーリー東北新聞社業務推進部 ライター 田名部瑠衣)