親父と息子の八戸料理を味わえる 下町・巣鴨「八戸酒肴処 居酒屋 はら匠」

2022/07/06 - ファンクラブ通信 | 八戸市

 JR巣鴨駅から徒歩5分、閑静な住宅街の一角にひときわ目に付く「おんでやんせ」の文字。八戸市出身の店主・原辰徳さんが営む「八戸酒肴処 居酒屋 はら匠」は201988日にオープンした。田子町出身の父と南部町出身の母を持つ原さんは、親子でお店をやることにこだわり、八戸から父と母を東京に呼び寄せる形で新たなスタートを切った。

物心ついた頃から青森の居酒屋経営を夢見ていた原さんは、2002年に料理専門学校を卒業後、京王プラザホテルの洋食料理店、六本木の割烹料理屋で修行をしたのち、笹塚にある「炉端座八戸笹塚店」で店長を10年務め、現在は、地元八戸の旬の食材を使った料理づくりに日々精進している。

-おやじとむすこがつくる “めぇ料理とさげっこ” -

はら匠には、親父おすすめの一品・息子おすすめの一品・親子のタッグメニューという独特なメニュー項目がある。親父は八戸の家庭料理をイメージした料理を、息子は地元の旬の食材を使った手仕込み料理を、と強弱をつけたメニュー作りを心掛けている。

-本日のわんつか盛り-

 八戸の家庭の食卓に並んでくるものをイメージした日替わりの小鉢メニューで、旬の野菜や魚など季節によって使う食材は変わる。この日は、手前から時計回りに「イカ飯」「自家製杏漬けと長芋のとろろ」「もみきゅうりの酢味噌和え」「鴨ロース炙りバルサミコソース」「銀サバの冷燻」「ササゲのゴマ油炒め」の盛り合わせ。一品一品に店主の想いやこだわりを感じる。

 

「鴨ロース炙りバルサミコソース」

「お店が所在する『巣鴨』の地名に関連するものを出したい。」

そこで店主が思いついたのがこちらの料理。南部町産の「鴨」にバルサミコ「酢」を掛けた一品で、ソースの酸味と柔らかい鴨の食感が相まって食が進む。

「自家製杏漬けと長芋のとろろ」

国内出荷量の4割を占める長芋生産地・青森県。その主な生産地は八戸市が位置する青森県南地方で、太平洋から吹き付ける偏東風「やませ」に耐えて甘みが強いのが特徴。また、原さんのお母様の出身地・南部町は杏の漬物が有名で、自家製の杏漬けの上品な風味と長芋の食感が癖になる一品だ。

「ササゲのゴマ油炒め」

 夏になると青森の食卓によく登場するのが「ササゲ(ササギ)」。

 ササゲはシャキシャキとした歯ごたえがあり、噛めば噛むほど甘味が出てくるので、ご飯やお酒の肴に最適な一品。

-バリバリ食感が楽しめるメニュー-

「シーザーサラダ 南部せんべい入り」

南部せんべいが湿気ったとき、美味しく食べる方法を試行錯誤して生まれたのがこちらの一品。

揚げてみたら案外いける!ということで、クルトン代わりに揚げた南部せんべいをシーザーサラダに添えたこちらの料理は、パリッとした歯ごたえのある新食感を楽しめる。

「ソーセージ包み揚げ」

南部地方の郷土料理「かっけ」を使った料理。かっけは、そば粉や小麦粉に塩と水を加えた生地を薄くのばし、三角形に切った特産品。茹でてにんにく味噌をつけて食べるのが一般的だが、それをアレンジしたのがこちらの「ソーセージ包み揚げ」。春巻きよりも厚みのあるかっけは、歯応えが抜群。スナック感覚で食べることが出来るので、小さいお子様から大人まで老若男女問わず楽しめる一品だ。

-家庭の味をお店で-

イカの足(ゲソ)や野菜を小麦粉と混ぜ、油で焼いたり揚げたりする青森県の郷土料理「いかめんち」。津軽地方では「いがめんち」と呼ばれ、「母の味」として受け継がれてきた。

はら匠の「いがめんち揚げ」は、外はカリカリで中はふわふわ。冷めても残るふわふわ食感の秘訣は豆腐で、歯ごたえのあるイカゲソと練り物の優しい味わいが口に広がる。全世代に好まれる、はら匠人気No.1の料理だ。

 

 

 

 

 

 

 

八戸せんべい汁は、八戸地方で生まれた食文化の代表料理で、家庭によって入れる材料も違えば出汁も違うが、はら匠では鶏出汁と鯖出汁の2種類のせんべい汁を提供している。今回いただいたのは鶏出汁のせんべい汁。具材は至ってシンプルでキャベツやゴボウ、人参、鶏肉で、鶏の出汁が効いており、冷めても美味しく、温かみのある優しい味わいとなっている。

-愛される店、はら匠-

カウンター、お座敷、テーブル席があり、おひとり様からファミリーまで楽しめる空間になっている。1人客も多く、カウンターの争奪戦は激しい。家族連れのお客様にはお店にある材料を使い、スパゲッティなど子どもが好きなメニューを作ってあげるとか。また、店のある巣鴨は青森出身の方が多く、偶然にもビルのオーナーさんが同じ高校出身という驚きも。

新型コロナウイルスの影響で思うように営業ができなかったときには、近所の子どもたちから「はら匠さんがんばれ~!」といった応援メッセージカードを貰い、支えられた。今でも店の窓にメッセージカードが貼ってある。

「来店した人に楽しんで食べていってほしい。」

そんな思いから、年1回のお楽しみのイベントとして、8月末から11月頃まで「イクラのぶっかけ丼」を提供している。自家製いくらを、目の前で思う存分どんぶりに入れてもらえる贅沢な「ぶっかけ丼」は、仕入れた筋子の原価で料理の値段を設定しており、お得に食べられる貴重な機会で、はら匠人気イベントの一つだ。

青森の地酒も多数取り揃えているほか、八戸の郷土料理からアレンジメニューまで八戸の新鮮な海の幸や山の幸が盛りだくさんのはら匠。親子傑作の料理を是非味わってほしい。

(令和4年5月末取材)

 

八戸酒肴処 居酒屋 はら匠

【住所】〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3-3-1 YYビル102

【電話】03-3576-1177

【営業時間】17:0023:0022:00食事オーダーストップ)

【定休日】水曜日

【アクセス】JR巣鴨駅 徒歩5分

都営三田線巣鴨駅A3出口 徒歩4分

Instagramhttps://www.instagram.com/izakayaharasyo/