東京都内・八戸圏域の食材巡り ~人気居酒屋「二ツ屋さかい」編~

2021/12/17 - ファンクラブ通信 | 八戸市

 八戸市出身者の中には、「二ツ屋」という地名に見覚えがある方もいるのではないでしょうか?
今回は、八戸市の長者地区、二ツ屋出身の女将がいる東京都内の人気居酒屋「二ツ屋さかい」にお邪魔しました。

 

-青い暖簾が目を引く「漁場魂 二ツ屋さかい」-

 さっそくお店に入ると、笑顔が素敵な店主・坂井健さん(埼玉県出身)と妻・奈緒子さん(八戸市出身)が出迎えてくださいました。静かなジャズの流れるとてもアットホームな雰囲気の店内。それもそのはず、店内の至るところに、八戸三社大祭や八戸えんぶりのポスターや八戸かるた(昭和版)等がずらりと展示されているではないですか!出身者なら懐かしさを感じる空間でしょう。
こちらのお店は20176月にオープンして以降、ご夫婦二人三脚でお店を切り盛りされています。

二ツ屋さかい(店内)その1

二ツ屋さかい(店内)その2

 

-食材へのこだわり-

 江戸で獲れるものとと八戸で獲れるものは全然違うから、お店をオープンするうえで強い武器になった、こうおっしゃる店主の健さん。
奈緒子さんの地元・八戸は1年を通して山海の食材が豊富で、もっと関東の人に八戸の食材のおいしさを知ってもらいたいという思いがある健さんは、市内にある八食センターから海産物を仕入れたり、八戸産の醤油を取り扱ったりと、食材にはとことんこだわっています。

 

≪お店厳選のメニューのご紹介

「一口椀」

 東京の喧騒を抜け、席に着くと最初に出されたのが一口椀、一番出汁で作った定番メニューです。お椀の蓋を開けると、郷土料理の「そばかっけ」が。このお椀の味が素晴らしく、期待値が上がります。

 

 

青森県民のソウルフード「いかメンチ」

 二ツ屋さかいの人気メニューのひとつ「いかメンチ」は、イカの足(ゲソ)や野菜を小麦粉と混ぜ、油で焼いたり揚げたりする青森県の郷土料理です。津軽地方では「いがめんち」と呼ばれ、「母の味」として受け継がれてきました。
同店のいかメンチは、イカの旨味が凝縮され、素材そのものの甘味とジューシーさが際立つ絶品料理。時間が経っても衣はサクサクで、冷めても美味しい一品です。

 

「おまかせ刺し盛り」

(ホタテ、ホッキガイ、江戸前サヨリ、マコガレイ、本マグロ、マグロのカマ、八戸秋サバ)

 2020年頃から東京・豊洲市場にも八戸産マグロが入荷するようになったそうで、この日の刺し盛りにも八戸産のマグロが登場しました。豊洲市場でも八戸産マグロを好んで買い求めてくる方もいるとのこと。刺し盛りは、八戸産のマグロと秋サバ、三沢産のマコガレイなど青森県産尽くし!

 どれも美味しいお刺身でしたが、中でも驚いたのが、秋サバのお刺身。
青魚のお刺身は生臭くて苦手という方もいらっしゃるかもしれませんが、騙されたと思って一度こちらのサバを食べてみてください。脂がたっぷりのっていて、全く生臭くないのです!その理由は、サバを鮮度がいい状態のまま軽くしめているからだとか。冷凍品は使わないため、この時期限定のメニューになります。
お刺身は地元・八戸産の醤油につけていただきましたが、甘口で味がしっかりありつつも魚の旨味を引き立ててくれるお醤油で、一つひとつにお二人のこだわりを感じます。

イカ三昧!「イカ珍味の三種盛り」

(白子の釜揚げ、とんび唐揚げ、軟骨黒胡椒焼き)

 居酒屋定番の「白子ポン酢」に使われるタラの白子は食べたことはあっても、イカの白子を食べたことがある方は少ないのではないでしょうか?
イカの白子の釜揚げは、タラよりも歯応えがあるのが特徴的です。右端にある赤カブ漬け(青森県産)も一緒につまみながら、イカの珍味を堪能できます。
八戸ではかつて、イカが朝ごはんにも出るほど庶民的な魚でした(地域にもよります)。
しかし昨今、八戸港での漁獲額が減少し、ピーク時(1987年)の10分の1以下になっています。そんなイカの珍味。貴重な一品です。

八戸ブランド「八戸前沖さばのしゃぶしゃぶ」

    八戸前沖さばとは、『八戸前沖さばブランド推進協議会』が認定した期間に三陸沖以北の日本近海で漁獲されて八戸港に水揚げされ、重量や脂肪分の基準を満たしたさばのことをいいます。粗脂肪分が高く「日本一脂がのったさば」と評されています。
軽く12回しゃぶしゃぶしても良し、そのままお刺身で食べても良し!生臭さがなく脂がのっていて甘みもあり、ぺろりと食べられます。

 

「八戸産のスルメイカと青森りんごの天ぷら」

(八戸産スルメイカ、青森りんごの天ぷら)

 りんごの天ぷらはアップルパイのような食感で、デザート感覚で楽しめる一品。塩を少し振りかけるとりんごの甘さが引き立ち、甘じょっぱさが癖になるおいしさです。
取材時点では試作段階のりんごの天ぷら。定番メニュー化したら人気メニューになりそうです。

 実は、りんごは11月が収穫の時期。年間を通じてりんごを食べられるのは、特殊な保存技術の賜物なのです。長期保存技術の中でも高い技術を用いて貯蔵したのが「いかりりんご」。そのいかりりんごを使ったりんごの天ぷらを今回はいただきました。

 

「八戸産マグロの中落ち源たれ丼と八戸せんべい汁」

 〆料理は、八戸産マグロの中落ち源たれ丼と八戸せんべい汁。
八戸せんべい汁は、八戸地方で生まれた食文化の代表料理。冷害や凶作に悩まされてきた中で、冷害に強い小麦や蕎麦などを食べる文化が発展してきた中で生まれた郷土料理です。
出汁がきいたせんべい汁と一緒に食べるマグロ丼は、八戸産マグロを使った贅沢な一品!脂がのったマグロの旨味とスタミナ源たれの甘さが絡まり、頬っぺたが落ちそうなくらいの絶品でした。

メニューは毎日仕入れをしてから決めるため、旬の食材が盛りだくさん。
春(46月)と冬(121月)はトゲグリガニ、5月頃からは天然ホヤ、夏はヒラツメガニ、秋はサバ、スルメイカは5月から1月と、旬の時期に合わせた食事をいただくことができます。
天然ホヤを都内で食べられるお店は少なく、同店でホヤを初めて食べてファンになり、ホヤを目当てにお店に来る方もいらっしゃるようです。
トゲグリガニはミソも卵(メスのみ)も美味しく、身も詰まっていて甘みがあるカニですが、実は毛ガニと同じ「クリガニ科クリガニ属」。都内ではあまり出回っていないため、旬の時期には是非「二ツ屋さかい」で!

二ツ屋さかいの魅力は、八戸圏域の食材をたっぷり味わうことができること、そして、健さん・奈緒子さんご夫婦の気さくな人柄に触れることができることです。
「お店の魅力は食材」という健さんですが、30年の修行を積んだ料理人でもあります。
「たくさんの常連さんに支えられ、助けられながら頑張っています」と目を細める健さんと奈緒子さん。

八戸の雰囲気とお料理を楽しみにぜひ二ツ屋さかいへお越しください。

 

(取材:202111月)

 

・二ツ屋さかい
【住     所】 東京都世田谷区上馬448 新町駒沢ビル101
【電     話】 0357796630
【営業時間】 18時~23
【定  休  日】 不定休
【アクセス】 東急田園都市線 駒澤大学駅(西口)徒歩1分