【五戸で「しごと」を継ぐということ①】一枚の図面をもとに身近な機械から 航空・宇宙関連部品まで
「自分らしさ」を大切にする 五戸の暮らし
移住するにあたって、重要な検討事項のひとつである「しごと」。
お金を稼ぐ手段としてだけでなく、自己実現の手段としての仕事を地方に求める人が増えてきています。
「移住しても、おもしろそうな仕事はなさそうだな…」と、諦めていませんか。
地方で頑張るオモシロイ会社や、イキイキと楽しみながら働いている人たちが見えないと、そう思ってしまっても仕方のないことかもしれません。
ですが、日々仕事を楽しみながら、丁寧に暮らしを紡いでいる人が、五戸町にはたくさんいます。
楽なことばかりではないかもしれませんが、みな「自分らしい」暮らしを実現させている人たちばかりです。
あなたも五戸町で一緒に「自分らしい」暮らしを叶えませんか。
一枚の図面をもとに身近な機械から航空・宇宙関連部品まで-株式会社橘機工×橘賢志さん-
「この部品、何かわかりますか?これはカメラの部品で、こっちが車の部品。これらは企業から依頼されて製造した試作品なんです」と話すのは、五戸町にある金属切削加工業⑭橘機工の社長、橘賢志さん(46)。
扱う金属はアルミや合金、チタン、ステンレスなど様々。それらの材質を複雑かつ細かな形、しかも精度の高い部品まで作っています。カメラや車、携帯電話など精密製品は、大量生産をする前に、必ず試作品が作られるのですが、同社ではその役割を担っています。さらに、HーⅡロケットや航空機の部品も作っている県内で唯一の企業なのです。
創業は1983年で、賢志さんの父・橘勝志さんが製材工場のライン設備を設計、製造などを行う会社として設立。国内や海外まで順調に会社の業績は伸びていきます。
「いずれ会社を引き継ぐつもりでしたので、工業高校へ進学し電気制御の勉強をしました」
高校を卒業後、父の会社の後継として働きますが、間もなく世の中は大きく変わり始めます。90年代になると海外から安い外材が市場に出回り、製材業は次第に減って機械の需要は少なくなっていきます。
「事業を転換しようと思っても、当初何をしたらいいか思い浮かびませんでした」と橘社長は振り返ります。
子供の頃からものを分解して組み立てたりすることが好きだったという橘さん。得意分野だった機械加工を思い立ち、旋盤などの工作機械を導入し営業に歩きます。しかし、仕事の依頼という弱みがあってか、他社が敬遠する仕事ばかり受注するようになります。
1枚の図面から製品を作っていくのですが、当初何が難しく、何が簡単なのかも分からないまま作っていました。全て独学で、橘社長には図面を形にすればお金になるという思いしかありませんでした。
「どんなにハードルの高い仕事でも、試行錯誤しながら完成させて納期まで届けるというのが私の信念です。ノウハウの蓄積ですよ」と橘社長は笑って話します。
多くは試作部品ですが、量産品まで対応しており、今ではカメラや電化製品の他に、半導体製造や航空・宇宙、医療機器関係部品まで手がけるようになっています。
航空産業に参入することになったのは、2011年に航空・宇宙関連の展示会に出展した時、兵庫県尼崎市にある企業から「航空機の仕事をしてみませんか?」と声をかけられたことからでした。その企業は航空機の脚部を製造しており、高精度の技術を持っていることが認められたのです。これを機に、翌年には航空宇宙産業が求める品質管理企画の認証を取得。
製品作りは全てコンピューターでプログラミングされ、多い時は80本ものドリルを自動的に交換しながら削っていきます。
2017年には工場を建て替え、ここまで事業が発展してきたのは、全ては人との出会いと挑戦、そして社員たちの熱意があったからでした。
「将来的には技術をこの青森県に蓄えていきたい。そのうえで様々なセンサーや、農業機械、位置情報管理システムなどといった、社会に役に立つものを提供していけたらと考えています」と橘さんの夢は広がっています。
取材先data
株式会社橘機工
五戸町大字切谷内字菖蒲川下谷地22-1
TEL 0178-68-2625 http://www.t-kikous.com
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五戸町 総合政策課 地方創生班
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