移住者のライフスタイル戸村 瞭宏さん (階上町 令和元年 Iターン)

戸村 瞭宏(とむら・あきひろ)
2000年生まれ。高校卒業までさいたま市で過ごす。中学、高校の時に見たドキュメンタリー番組をきっかけに漁師に憧れを抱き、青森県主催の漁業体験を経て、2019年4月、階上町にある「開成漁業」に就職。定置網漁業の若手漁師として奮闘している。高校時代はハンドボール部に所属。趣味は格闘技観戦とオンラインゲーム。

漁師はカッコいい!18歳で飛び込んだ漁業の世界

 「漁師になって良かったなと思うのは、魚でいっぱいになった網を引き揚げるとき。いろいろな種類の魚がたくさん獲れると、やはり嬉しいですし、達成感があります」
 精悍な表情でこう話すのは、さいたま市出身の戸村瞭宏さん。高校卒業後、憧れを叶えるために海のない埼玉県から階上町に移住した、若き漁師です。
 小さい頃から魚好き。さばくのも得意だった戸村さん。漁師の仕事に興味を持ったきっかけは、漁師が主人公のドキュメンタリー番組でした。「カッコいい!」。海に向かう男たちの姿に憧れを抱くようになります。
 高校3年の時、『漁師.jp』というサイトで青森県主催の漁業体験教室を知り、迷わず参加。階上町で3日間、定置網漁を体験します。この時、懇親会の席でたまたま隣に座った現在の先輩漁師、上長根優大さんから「インターンに来ないか」と誘われ、冬休みを利用して再び階上の海へ。これを機に、階上町で漁師になることを決めたのです。
 戸村さんが勤務する『開成漁業』は、沖合に仕掛けた定置網で、サバやヒラメ、イナダ、ブリ、サケといった魚を獲る定置網漁を行っています。午前2時ごろに出港し、水揚げをして8時前後に帰港。朝食をとり、網の補修や漁具の手入れなどをして、仕事を終えるのは昼過ぎ。完全に昼夜逆転の生活ですが「つらいとは思わない。大変なこともありますが、その分やりがいのある仕事です」ときっぱり。そんな戸村さんの働きぶりについて、開成漁業の上長根司社長は「とにかく真面目。今まで一回も休んだことがないし、仕事の覚えも早い」と高く評価。「きっといい漁師になる」と期待を寄せています。

海と山に囲まれた静かな生活不便だと思うことはありません

 階上町に移住して4年目。当初は南部弁に苦戦したそうですが、今ではしっかり聞き取れるように。冬の寒さや普段の生活にもだいぶ慣れたようで「この辺は思っていたほど雪が積もらないので生活しやすい。八戸にも車ですぐ行けるので、買い物など不便さは感じません」と話します。
 そして何より、海と山に囲まれた自然いっぱいの環境が「静かで居心地がいい」のだとか。ゆったりとした時間の流れや澄んだ空気に、都会では味わえなかった気持ち良さを感じているそうです。もちろん、新鮮な魚も階上町の大きな魅力。獲れたてを埼玉の家族のもとへ直送するたびに、喜ばれているそうです。
 毎年、2~3月の休漁期間を利用して帰省したり、普段から埼玉の友人と連絡を取りあったりしているので「寂しさは感じない」と戸村さん。「早く一人前になって、これからも階上町で漁師を続けていきたい」と決意を新たにしていました。

移住者のライフスタイル

 移住先は「ほどよい田舎」が人気です。
 生活するうえで必要な都市機能を備えながらも身近に美しい自然が広がり、人と人の支え合いが根付く暮らし。そんな便利さと暮らしやすさを兼ね備えた生活空間がここにはあります。
 物質的な豊かさは都会ほどではないかもしれません。
 でも、心にゆとりを与えてくれる人との絆がここにはあります。人との絆を、個人の制約ではなく個人の楽しみに変えることができる人に、この地で半都半邑の楽しさを味わってほしいのです。