移住者のライフスタイル松下 真之助さん、亜紀子さん (八戸市 令和5年 I・Uターン)
松下 真之助・亜紀子さ(まつした・しんのすけ、あきこ)
<真之助さん>1982年生まれ、茨城県稲敷郡阿見町出身。2009年より約11年間、証券会社の八戸支社に勤務。東京本社への異動・退職・阿見町へのUターンを経て2023年8月、八戸市堤町に〈ひろがる酒店〉オープン。唎酒師(日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)認定)。<亜紀子さん>八戸市出身。証券会社八戸支社勤務時代、真之助さんと出会いパートナーに。酒店では手書きポップ制作を担当。
慣れ親しんだ八戸で、試飲と角打ちが楽しめる酒屋をオープン
「大好きなお酒に関わる仕事がしたい」と思い続けてきた松下真之助さん。夢の舞台に選んだのは、妻・亜紀子さんの地元であり、自身も慣れ親しんだ八戸でした。
八戸との縁は、前職の証券マン時代。27歳で八戸支社に赴任し、約11年勤務しました。その後、東京本社へ。仕事に忙殺される日々の中で真之助さんは「踏み出さなければ流されてしまう」と夢を追う決意をしました。八戸支社で出会いパートナーとなった亜紀子さんも大の酒好き。夫婦で真之助さんの地元・茨城県阿見町に移住し、試飲と角打ちが楽しめる酒屋の開業を目指して物件探しを始めました。ちなみに角打ちとは、酒屋での立ち飲みのこと。
「僕の地元は人の集まる商店街がなくて。周辺の大きな都市なら、お酒を売るだけならできたかもしれないけど…。僕にとっては水戸よりも八戸のほうが心理的に近いし、店を開くイメージも湧いたのです。人が集まる商店街があって、でもあまり人の流れが速すぎない、商売にもちょうどいい街だなって」
再び八戸に住み始め、中心商店街空き店舗・空き床解消事業補助金を活用して『ひろがる酒店』を開業したのは2023年8月。全国16の酒蔵から約50種の日本酒を取り揃えています。必ず夫婦で試飲し、唎酒師資格を持つ真之助さんが納得したものだけを店頭へ。味わいの特長や料理との相性が記されたポップは、亜紀子さんの手書きです。
店名の由来は、「今までお酒で広がってきた縁を、今度は自分たちが広げたい」という二人の思い。欅の一枚板のカウンターでは、日々、人と酒、人と人との新たな出会いが生まれています。 またSNSを通じて酒選びの相談に乗るサービスや、作り手を招いたイベントなども実施。同店を中心とした交流の輪が広がっています。
離れて気づいた八戸の食の魅力 自ら釣った魚をいつか角打ちで
「東京で暮らすようになって初めて、八戸でいかにおいしいものを食べていたか分かりました」と真之助さん。7年前に釣りを始め、今では魚をさばくだけでなく熟成料理にも凝っています。日本酒とのマリアージュも目下研究中で、「いつか角打ちでお客様にお出ししたい」という目標ができました。
一方、「離れている間、種差のヨガが恋しかった」と亜紀子さん。三陸復興国立公園・種差海岸の天然芝の上で5月~9月の週末に行われている早朝のヨガイベントは「本当に贅沢な時間」と話します。
そんな二人の思う八戸の魅力とは?「電車通勤しなくていい」(真之助さん)、「街から海も山も近い」(亜紀子さん)とそれぞれ挙げていきましたが、「酒の肴になるおいしい食材がたくさんある!」と最後は仲良く声を揃えました。