移住者のライフスタイル工藤 祐一さん (新郷村 令和6年 Iターン)


工藤 祐一(くどう・ゆういち)
1976年、茨城県生まれ。転勤族の父親のもとで育ち、関東・中部・中国・近畿地方などで暮らす。社会人としても製造・エネルギー・教育・レジャー・観光など多様な業種を経験しながら、都市部から村落まで全国各地に居住。東京都三鷹市で4年ほど進学塾の営業職に就いた後、2024年4月、新郷村地域おこし協力隊員に着任。同村企画商工観光課に所属し、(一財)新郷村ふるさと活性化公社にて特産品販売促進・観光振興に携わる。

興味が湧いたら足を運び人に会う 直感と熱意が拓いた移住への道

 高原に広がる65ヘクタールの敷地に、道の駅やキャンプ場、スポーツ施設などを備えた新郷村の間木ノ平グリーンパーク。
 「今は藤やつつじ、その前は山桜が見頃でした。次々と景色が変わり飽きません」同村地域おこし協力隊員の工藤祐一さんは、初夏の自然に目を細めて話します。
 工藤さんは全国各地で多様な職業を経験。十和田市在住の両親が高齢となり、東京から青森県へ移住を決意したのは40代半ばです。移住説明会で同村のブースに足を向けたのは「担当の人が楽しそうだったから」
 「ブースで村の話を聞くと『キリストの墓』とか言うから怪しいと思ったけど(笑)。オカルト的なコンテンツに対し本気とも冗談ともつかない絶妙な空気感で、村の魅力としてPRしている。面白いと感じました」
 興味を惹かれ移住希望者向け体験ツアーに参加した後、地域おこし協力隊に応募。しかし募集枠に対して応募人数が多く、採用される確証はありませんでした。面接で伝えたのは、「この村が好きだから、たとえ協力隊員という形でなくても村のために何かしたい」という意志。観光振興に携わった経験も評価され、着任が決まりました。
 「興味が湧いたら決める前に足を運ぶ、人に会う」のが工藤さん流。移住希望者には「動いてみたら必ず次に繋がるので、結果に執着しないで動いてみるのがいいかなと思います」とアドバイスします。

”おすそ分け“するように村の魅力を広めたい

 協力隊員としての使命は、観光振興と特産品の販売促進。着任1年目の今は新郷村ふるさと活性化公社に通勤し、主にパーク内の施設の管理・運営を担当。繁忙期には売店やレジャー施設で接客することもあります。
 「接客すると暖かいお客様ばかり。『この村、面白い』と感じて訪れる方々だからだと思います。長年積み上げてきた村の自然環境や歴史、風土が生んだものに惹かれて人が来るわけですから、村の先人に感謝しています」
 今後は「村の良いものを、できるだけ多くの人におすそ分けするように広めていきたい」というのが目標。村の生活を楽しみつつ、イベント企画や新商品開発のアイデアも練ります。
 「例えば『飲むヨーグルト』は海外輸出もしている村の自慢の一品。おいしさの秘訣は、乳牛が食べる牧草の土からこだわっていることと、通常の約900倍もの時間をかけて行う低温殺菌の牛乳です。手間暇のかかるものは大量生産には向かないけれど、良いものを作り、価値を理解してくれる人に届け続ければ、村の未来は明るい方向へもっていけるはず。まずは村の産品や観光コンテンツのPRから始めたいと思います」

移住者のライフスタイル

 移住先は「ほどよい田舎」が人気です。
 生活するうえで必要な都市機能を備えながらも身近に美しい自然が広がり、人と人の支え合いが根付く暮らし。そんな便利さと暮らしやすさを兼ね備えた生活空間がここにはあります。
 物質的な豊かさは都会ほどではないかもしれません。
 でも、心にゆとりを与えてくれる人との絆がここにはあります。人との絆を、個人の制約ではなく個人の楽しみに変えることができる人に、この地で半都半邑の楽しさを味わってほしいのです。