移住者のライフスタイル高山 慎一さん (おいらせ町 平成29年 Jターン)


高山 慎一(たかやま・しんいち)
1977年、八戸市生まれ。都内の大学を卒業後、6年間ハウスメーカーの営業職を経験。知人の誘いを受け、 28歳で飲食業に転身。八戸市内の飲食店に勤務し、アルパイトからマネージャーヘ。複数店舗の立ち上げに携わり2018年に独立。岩手県盛岡市にて焼き肉店・居酒屋を経営もコロナ禍により2020年閉店。2021年6月においらせ町で「焼肉・ホルモンミート農場」開業。家族は妻・子ども3人と犬1匹。

仕事中心の日々がコロナ禍で一変 立ち止まり、見えてきた町の魅力

 県立百石高校そば、国道45号近くにある『焼肉・ホルモンミート農場』は、家族連れに愛される焼き肉レストラン。小学生以下はディナータイムの食べ放題がなんと無料。美保野グリーン牧場の肉を店頭販売する直営店としての機能もあり、八戸市発のブランド肉『八戸美保野ポーク』『美保野牛』『階上ラム』が味わえ、購入もできます。
 「『子どもがまた来たいって言うから』と来店する常連さんが多いですね。今まで色々な飲食店に関わりましたが、ここまでお客様との距離が近いお店は初めて」と話すのは、同店オーナーの高山慎一さんです。
 八戸市で生まれ育った高山さんは、ハウスメーカーの営業職から八戸市の飲食店に転職。アルバイトから始めて役員となり、事業拡大を機に進出した岩手県盛岡市で独立を果たします。しかし焼き肉店・居酒屋の経営が軌道に乗った頃、新型コロナウイルスの感染が拡大。2020年4月の緊急事態宣言で休業を余儀なくされ、高山さんは閉店を決意します。仕事中心の生活から一転。2016年に妻の実家近くに建てていた、おいらせ町の自宅で過ごす時間が長くなりました。
 「日課の犬の散歩の時、奥入瀬川に架かる橋を渡っていてふと思ったんです。川の向こうはすぐ八戸市で北側は三沢市。十和田市へも車で30分。ショッピングモールも自然もあるし、おいらせ町ってすごく暮らしやすい良い場所だよなって」

同じ町で暮らす子育て仲間に贈る「おやこ食堂」というエール

 空き店舗を改装し開業したのは2021年6月。コロナ禍を機にあらためて家族と向き合った高山さんが目指したのは、「子どもがお腹いっぱい食べられる焼き肉屋」でした。飲食店勤務時代から信頼関係を築いていた美保野グリーン牧場の協力のもと、オープン前にクラウドファンディングを実施。コロナ禍で在庫になっている美保野牛を格安で販売する企画で185組の支援を受け、”小学生以下食べ放題無料“を実現しました。経営努力に励み、オープンから3年余りが過ぎた今でもサービスを継続しています。
 仕事も暮らしもおいらせ町が拠点となった今、地域貢献にも積極的に。町役場と協力し、地元の不動産会社とともに同店を会場に「おいらせおやこ食堂」を開催中です。美保野グリーン牧場はもちろん、近隣の農家などからも食材の寄付を受け、運営には百石高校食物調理科の生徒も携わります。町内在住の親子が対象。「仕事や家事はいったん脇に置いて、親子で一緒においしいものを食べ、ゆっくり話す場を作れたら」と高山さん。店内には今日も、子どもたちの弾んだ声が響きます。

移住者のライフスタイル

 移住先は「ほどよい田舎」が人気です。
 生活するうえで必要な都市機能を備えながらも身近に美しい自然が広がり、人と人の支え合いが根付く暮らし。そんな便利さと暮らしやすさを兼ね備えた生活空間がここにはあります。
 物質的な豊かさは都会ほどではないかもしれません。
 でも、心にゆとりを与えてくれる人との絆がここにはあります。人との絆を、個人の制約ではなく個人の楽しみに変えることができる人に、この地で半都半邑の楽しさを味わってほしいのです。