移住者のライフスタイル岩城 美果さん(南部町 平成25年 Iターン)


岩城美果(いわき・みか)
MamMum代表。秋田県能代市出身。東京家政大学短期大学部卒業。首都圏で保育士、会社員などを経験。オーストラリアでのワーキングホリデーに1年間参加し帰国後、平成25年8月~28年7月南部町地域おこし協力隊員として活動。退任後は同町商工会で働くかたわら食用菊のPRに携わる。

菊の里・南部町食用菊文化を守るべく新商品でPR

 南部町特産の食用菊『阿房宮』(あぼうきゅう)を使い、色鮮やかな漬物『菊花漬』やピクルス『菊花のかけら』の製造・販売を手がける岩城美果さん。店名の『MamMum』(マムマム)は、英語の〝母〞と〝菊〞をつなげた造語です。
 「私の故郷の秋田でも菊を食べますが、南部町の菊は格別。クセがなく上品な甘みがあって、本当においしい。気候や土壌が合うからこそ、江戸時代から栽培されてきたのだと思います」
 岩城さんは同町出身の友人に農家民泊などを行うNPO法人・青森なんぶの達者村の話を聞き、興味を持ちました。地域おこし協力隊員として町にやってきたのは4年前のことです。食用菊に関わるようになったのは、着任まもなく漬物日本一決定戦・T―1グランプリに出場したことがきっかけ。農家のお年寄りが作る菊花漬に感動し、作り方を習得しましたが、「こんなのを持って行っても…」と周囲の反応はネガティブでした。しかしいざ出品すると、東北ブロックでグランプリを獲得。続く全国大会でも審査員特別賞を受賞。全国770品の中から上位7品に選ばれるという快挙を成し遂げたのです。
 「菊は収穫後、花びらをむしるのにすごく手間と人手がかかります。高齢化や採算が合わないと栽培を諦める農家さんもいるけれど、受賞したことで皆さんに希望を持ってもらえたと感じました。菊は価値あるもの、町外に誇れる食文化だということをもっと見せたくて」
 岩城さんは商品化を決意。畑を借りて栽培から体験し、試行錯誤を繰り返します。やっと完成にこぎつけたのは、協力隊の任期満了を半年後に控えた頃でした。このままでは終われない―。そんな思いから商工会の臨時職員として再就職し、現在はコミュニティスペース・町の駅おらんど館の運営に携わっています。商品の加工や発送は休日を利用して行い、町の産直や飲食店、町内外のイベントのほかインターネットでも販売中。昨年は台湾の商談会に参加し、好感触を得ました。町外の展示会や商談には、他メーカーの食用菊商品も持っていきます。
 「菊を作り、食べる文化を守るために食用菊をPRするのが一番の目的。漬物にこだわらず、何かがヒットしてくれればいいと思っています」

愛情深い”人”こそ町の宝

 秋田から東京へ進学・就職。ワーキングホリデーで1年間オーストラリアに滞在。さまざまな場所や人を見てきたからこそ、南部町の人々の暖かさが身に染みたと、岩城さんは言います。 
 「協力隊時代は農家民泊を手伝い、30~40軒の農家のお父さん、お母さんと接してきましたが、皆さんとても愛情深い。用事があってうかがうとご飯に呼んでくれたり、果物や食べ物を持たせてくれたり。家族のように接してくれます。南部町は15年近く取り組んでいるグリーンツーリズム先進地だから、外から来た人を歓迎する文化が根付いているんじゃないかな」
 南部太ねぎのブランド化など若手農家の活躍を喜びながら、地域活性化には若者のパワーがもっと必要だとも感じています。今後はおらんど館を利用して若者が集まるイベントを開き、町の未来を担う人材を掘り起こす活動にも力を入れる予定です。

移住者のライフスタイル

 移住先は「ほどよい田舎」が人気です。
 生活するうえで必要な都市機能を備えながらも身近に美しい自然が広がり、人と人の支え合いが根付く暮らし。そんな便利さと暮らしやすさを兼ね備えた生活空間がここにはあります。
 物質的な豊かさは都会ほどではないかもしれません。
 でも、心にゆとりを与えてくれる人との絆がここにはあります。人との絆を、個人の制約ではなく個人の楽しみに変えることができる人に、この地で半都半邑の楽しさを味わってほしいのです。